銅平角棒(銅帯、銅ブスバー、銅バスバー)について徹底解説!

Rつき銅平角棒

こんにちは。

今日は銅の平角棒(ブスバー)について解説していきます。

銅の平角棒は銅ブスバー(銅バスバー)、銅フラットバー等と呼ばれ、普段の生活ではあまり目にする機会は少ないかもしれませんが、私たちの生活の中に無くてはならない材質、形状のものです。

銅平角棒(ブスバー)の成分

種類旧称旧記号Cu(銅)
C1020無酸素銅OFCu99.96以上
C1100タフピッチ銅TCu99.90以上

上記の通り、無酸素銅の方が銅の純度が高いことがわかります。

銅ブスバーはタフピッチ銅(C1100BB)が最も多く流通しており、一部紐付き品として無酸素銅(C1020BB)も使用されています。

ロウ付けが必要な場合や、使用や加工の際に高熱が加わる場合は無酸素銅の平角棒が使用されます。タフピッチ銅を高温で使用すると素材の中の酸素(0.008%)と水素が反応し水素脆化が起こるからです。

ただ、タフピッチ銅と比べ流通性が悪く、また価格も高くなるので注意が必要です。こちらに関しては後程記載したいと思います。

銅平角棒(銅ブスバー)の機械的性質

合金番号質別記号引張試験曲げ試験
厚さ
mm
引張強さ
N/m㎡
伸び
厚さ
mm
曲げ角度内側半径
C1020
C1100
OC1020BB-O
C1100BB-O
2以上
30以下
195以上35以上2以上
15以下
180°厚さの0.5倍
1/4HC1020BB-1/4H
C1100BB-1/4H
2以上
30以下
215~27525以上2以上15以下180°厚さの1倍
1/2HC1020BB-1/2H
C1100BB-1/2H
2以上20以下245~31515以上2以上15以下90°厚さの1.5倍
HC1020BB-H
C1100BB-H
2以上10以下275以上
規定厚さ範囲外の寸法のものの機械的性質は受渡当事者間の協定による。

上記で市場に流通している多くはC1100BB-1/2Hとなり、他の調質、材質は製作となります。

銅平角棒(銅ブスバー)の導電率

合金番号質別記号導電率 %
(20℃)
C1020
C1100
OC1020BB-O
C1100BB-O
100以上
C1020
C1100
1/4HC1020BB-1/4H
C1100BB-1/4H
98以上
C1020
C1100
1/2HC1020BB-1/2H
C1100BB-1/2H
98以上
C1020
C1100
HC1020BB-H
C1100BB-H
97以上

上記のように導電率が非常に良いことがわかります。

銅平角棒(銅ブスバー)の主な用途

配電盤、分電盤、メッキ治具、端子、熱交換器、伝導体、設備用部品

やはり導電性が必要な場合に多く使用さえていることがわかります。また、曲げ加工性やかしめ性、溶接性が良好です。

銅平角棒(銅ブスバー)の製造範囲

タフピッチ銅平角棒(銅ブスバー)の規格はこちらから

タフピッチ銅の平角棒(C1100BB)は2×10から、大きいものでは30×300なんてものも存在します(阪根商事HPには載せていません)。

メーカーによって製造範囲は異なりますのでこちらから問い合わせて下さい。

無酸素銅の平角棒は一部紐付きで在庫している問屋さんもありますが基本的には受注生産となります。

定尺の長さですが5000mmが標準サイズとなります。

製作となりますが、角Rをとって曲げ加工性を向上させることも可能で、サイズではありますがフルラウンドの材料も一部流通しております。

ダイスを製作することで任意の厚み、幅、角Rで製作することも可能ですのでこちらからお問い合わせ下さい。もちろんメーカーの汎用ダイスもありますのでこちらからお問い合わせ下さい。

銅平角棒(ブスバー)の寸法許容差

厚さ厚さの許容差幅の許容差
200以下200を超え300以下100以下100を超え300以下
2以上3.2以下±0.08±0.8
3.2を超え5以下±0.10±1.0±1%
5を超え8以下±0.12±0.13±1.0±1%
8を超え12以下±0.15±0.18±1.0±1%
12を超え20以下±0.20±0.23±1.0±1%
20を超え30以下±1.2%±1.3%±1.0±1%
許容差を+または-だけに指定する場合は表の数値の2倍とする。
規定範囲外の寸法のものの許容差は受渡当事者間の協定による。

製造ロットと納期

銅平角棒を製作する際の最少ロットは形状やサイズにもよりますが、約300Kgもしくは約500Kgからオーダー可能です。もちろん、サイズによっては1本で300Kgを超えるものもありますので要相談となりますが…。

製作となった場合、納期は1.5ヵ月から3ヵ月程度はどうしてもかかってしまいます。ただし、メーカーの混み具合によってはさらに納期がかかってします場合がありますので注意が必要です。その辺りも考慮し発注する必要がありますね。

納期が間に合わない場合や少量で購入する場合は、市中品を購入することになります。その場合は1本から購入可能です(もちろん半分切りや寸法切断にも対応可)。また、任意の寸法に切断し、1本以下(例えば100mm1本等)で商品も購入できますが、やはり割高になってしまう傾向にあります。

銅平角棒(銅ブスバー)の製造メーカー

  • 三菱マテリアル株式会社
  • 権田金属工業株式会社
  • 日立金属ネオマテリアル
  • 古河電気工業株式会社

日本国内のメーカーは主に上記の4社が製造販売しております。

その他、タイのオリエンタルカッパープロダクツの材料も流通しています。

まとめ

  • 銅平角棒(銅ブスバー)は導電率、熱伝導率、曲げ加工性、かしめ性に優れている。
  • 水素脆化を起こさないため高温で使用する際は無酸素銅平角棒(C1020BB)が適している。
  • タフピッチ銅平角棒は市場性に優れており、多く流通している。
  • 製作の場合は約300Kgから製作できる。

銅ブスバーに関して詳しくはこちらからお問い合わせ下さい。

無酸素銅板、タフピッチ銅板、りん脱酸銅板について徹底解説!

純銅板を加工や設計をする際、材質の選定で悩まれていることはないでしょうか。 今回は銅板を使用する際の材料選定について書いていきたいと思います。 我が国に多く流通する銅板は無酸素銅(C1020)、タフピッチ銅(C1100)、燐脱酸銅(C1220)に分類されています。今回は3種類の銅板について解説していきます。

銅板選定のポイント

  • 化学成分
  • 用途
  • 物理的性質
  • 機械的性質
  • 寸法について
  • まとめ

化学成分

無酸素銅(C1020)(OFCu)

Cu
99.96Min

タフピッチ銅(C1100)(TCu)

Cu
99.9Min

燐脱酸銅(C1220)(DCu)

CuP
99.9Min0.03

上記の通り、無酸素銅が最も純度が高く、真空溶解によって製造されています。そのため、酸素の量をごく微量に抑えており水素脆化を起こしにくい純銅です。

タフピッチ銅は多少の酸素を含有するため、600℃以上の環境では水素脆化を起こす可能性があり、高温での使用には注意が必要です。最も流通しており一般的に一番入手し易い材質です。

りん脱酸銅は、タフピッチ銅と比べて導電率は劣りますがリンを脱酸材として添加し、酸素が除去されているため高温でも水素と反応せず水蒸気が発生しません。タフピッチ銅と比べるとやや導電率が悪い材質です。

用途

無酸素銅(C1020)

電気・電子部品、化学工業部品、熱交換器、音響用部品

特に導電性が必要な部品、高温になる部品に使用されます。

タフピッチ銅(C1100)

電気・電子部品、建築材料、器物、機械部品、自動車用部品、ガスケット

最も汎用性があり、導電材として使用されます。

燐脱酸銅(C1220)

湯沸器、ガスケット、冷蔵庫用部品、建築材料

建築材料や高い導電性が必要でない場合に多く使用されています。

物理的性質

C1020(OFCu)C1100(TCu)C1220(DCu)
融点(℃)液相108310831083
固相108310831083
比熱[J/Kg・K](20℃)385385385
比重(20℃)8.949.89~8.948.94
熱伝導率 [W/(m・K)](20℃) 391391339
縦弾性係数[kN/mm²]118118118
横弾性係数[kN/mm²]444444
ポアソン比0.330.330.33
導電率[%IACS]1019885
体積抵抗率10⁻³ μΩ・m 17.117.120.3

機械的性質

合金番号
JIS
質別引張強さ
N/mm²
伸び
ビッカース硬さ
HV
C1020(OFCu)O195以上35以上
無酸素銅1/4H215~27525以上55~100
1/2H245~31525以上75~120
H275以上80以上
C1100(TCu)O215~27535以上
タフピッチ銅1/4H215~27525以上55~100
1/2H245~31525以上75~120
H275以上80以上
C1220(DCu)O195以上35以上
燐脱酸銅1/2H215~27525以上55~100
1/4H245~31515以上75~120
O275以上80以上

2020年現在、最も流通している調質はC1020が1/2H、C1100が1/4H、C1220が1/4Hです。

寸法について

銅板は一般的に小板(365x1200)と、タフピッチのみ大板(1000x2000)が流通しています。

寸法表はこちらを参照下さい。

まとめ

  • 銅は金属の中で銀に次いで高い導電性を有していることから多くの電気・電子部品に使用されています。高温で使用する場合は無酸素銅を使用する。
  • 非常に高い熱伝導性を持ち、各種の熱交換器に使用される。
  • 継続して使用することで「緑青」という美しい風合いに変化する。
  • 展延性に優れ絞り加工や曲げ加工に適している。

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