ステンレス鋼に及ぼす添加元素の影響について

ステンレス丸棒

身の回りにあふれているステンレスと呼ばれる素材も数多くの種類があり、添加する元素によって様々な効果や影響が現れます。

SUS304に代表されるオーステナイト系ステンレス、SUS430に代表されるフェライト系ステンレス、SUS420J2に代表されるマルテンサイト系ステンレス、SUS630に代表される析出硬化系ステンレス、オーステナイト相とフェライト相からなる二相系ステンレス、成分の配分によって様々な特性が生まれ、用途によって使い分けられています。

今回はステンレス鋼に添加する元素によって、どのような影響がでるのか解説していきます。

元素名元素記号ステンレス鋼に及ぼす添加元素の影響
炭素C強力なオーステナイト化元素。オーステナイト結晶粒界にCr炭化物を析出し粒界腐食を起こす。様々な元素と化合物を作り硬さ、強度を増す。
ケイ素Siフェライト化元素。耐酸化性を増す。多量に加えると靭性を低下させる。脱酸材として使用される。
マンガンMnS、Seなどと化合物を作り被削性を増し、赤熱ぜい性を防止する。オーステナイト化元素でNiの約半量の能力がある。Nと親和性があり、ステンレス鋼のN吸収力を増す。
P熱間加工性を害し、機械的性質を劣化させる。オーステナイト系ステンレス鋼に適量を加えると熱間強度を増す。
硫黄S熱間加工性を害す。Mn、Te、Moなどと化合物を作り被削性を増す。
Cuオーステナイト化元素。硫化イオンに対して耐食性を改善する。析出硬化を起こし、強度を増す。熱間加工性を害する。
ニッケルNiオーステナイト化元素。耐食性を増す。オーステナイト系ステンレス鋼の基本元素。
クロムCrフェライト化元素。12%以上添加すると耐食性、耐酸化性を著しく増す。
熱間強度を増す。ステンレス鋼の基本元素である。
モリブデンMo複炭化物を作り、焼き戻し抵抗性を増す。熱間強度、耐クリープ性を増す。硫化イオンに対し耐食性を改善する。
バナジウムV焼き戻し抵抗性を増し、二次硬化して靭性を増す。炭化物を作り、耐クリープ性を増す。強力なフェライト化元素。
タングステンW強力な炭化物を作り、焼き戻し抵抗を増し、熱間硬さ、強度を増す。
コバルトCo著しく耐クリープ性強度を増す。
ヒ素As熱間加工性を害す。
Sn熱間加工性を害す。
ホウ素B粒界に析出し熱間強度を増す。微量添加で過時効を抑制し、耐クリープ性を増す。OとNとの親和性が強く安定した添加が困難である。結晶の微細化、熱間加工性を上げる。
チタンTi強力なフェライト化元素で安定した炭化物を作りオーステナイト系ステンレス鋼の粒界腐食を防止する。炭化物金属間で化合物を作り耐クリープ性強度を増す。析出硬化して強度を増す。結晶粒を微細化する。O、Nと化合しやすく清浄度を害しやすい。
セレンSe被削性を増す。
ジルコニウムZrフェライト化元素。Sと化合物を作り被削性を増す。種々の化合物を作り熱間強度を増す。結晶粒を微細化する。脱硫効果がある。赤熱脆性防止。
ニオブNb強力なフェライト化元素。炭化物を作りオーステナイト系ステンレス鋼の粒界腐食を防止する。耐クリープ性、熱間強度を増す。結晶粒を微細化する。靭性改善を改善する。
テルルTe被削性を増す。熱間加工性を害する。
Pb被削性を増す。熱間加工性を害する。
アルミニウムAl強力なフェライト化元素。Niなどと金属間化合物を作り、析出硬化し強度を増す。13Crステンレス鋼に添加しフェライトを増加させ、溶接割れを防止する。耐酸化性を増す。脱酸剤として使用される。
酸素O酸化物を作り加工性を害する。強度、靭性を害する。
窒素N強力なオーステナイト化元素。オーステナイト鋼の耐力を向上させる。高温強度を増す。低温の靭性を害する。
水素H高Niステンレス鋼の溶鋼中に多量に溶け込み、凝固時に析出しピンホールを形成しやすい。熱間加工時に割れの要因となる。

以上のようにステンレス鋼には様々な元素が添加されています。ミルシートに記載されている元素記号の効果や役割を知ることで、その材料の特性を知ることができます。

各材料の説明はこちらをご参照下さい。

SUS304とSUS303の違いについて

SUS303センタレス丸棒

ステンレス鋼とは鉄(Fe)にニッケル(Ni)やクロム(Cr)を添加し耐食性を向上させた合金鋼です。

その中で最も一般的で、幅広く使用されているのがオーステナイト系ステンレスです。

オーステナイト系ステンレスは耐食性を向上させるためにクロム(Cr)を、オーステナイト組織を安定するようニッケル(Ni)を含む合金鋼です。

今日はオーステナイト系ステンレスの代表鋼種であるSUS304と、SUS303について解説いたします。

SUS304とSUS303の成分表

鋼種CSiMnPSNiCrMoFe
SUS303≦0.15≦1.00≦2.00≦0.20≦0.158.0~10.017.0~19.0≦0.60残部
SUS304≦0.08≦1.00≦2.00≦0.045≦0.038.0~10.518.0~20.0残部
SUS303とSUS304の成分表

上記の通りSUS303はSUS304と比べ硫黄(S)とリン(P)の含有量が多く、これにより切削性を向上させています。 ただし、硫黄(S)とリン(P)を添加することにより熱間加工性を害し、溶接が必要な場合は支障をきたしてしまいます。また、耐食性は硫黄(S)を含まないSUS304の方が優れています。

SUS304とSUS303の耐食性

SUS304とSUS303を比較した場合、SUS303の方が耐食性は劣ります。特に湿気の多い場所や水分が触れる場合はSUS304を使用しなくてはいけません。医療用途、食品用途にSUS303が使用できないのはそのためです。

SUS304とSUS303の切削性

SUS303には硫黄(S)とリン(P)が含まれているため切削性はSUS303の方が良好です。旋盤加工時にSUS304は連なった切粉となりますがSUS303はパラパラと細かく途切れた切粉になります。また、SUS304では刃物がもたない場合でもSUS303ならすんなりと削ることができる場合もあり、結果的に加工費を抑えることができる場合もあります。

SUS304とSUS303の磁性

オーステナイト系ステンレスであるSUS304とSUS303は共に非磁性のステンレス鋼です。ただし、冷間での加工時に加工硬化により磁性を持つこともあるので注意が必要です。

SUS304とSUS303の溶接性

SUS303に含まれる硫黄(S)とリン(P)は熱間加工性を害する作用があり、溶接には向いていません。よって、溶接が必要な場合はSUS304を使用する必要があります。

SUS304とSUS303の材料費

SUS304よりSUS303の方が一般的に若干ではありますが高くなる傾向があります。当然、購入ロットや購入時の規定によっても違いますので一概には言えませんが。

SUS304とSUS303の流通性

丸棒・六角棒・四角棒

丸棒(センタレス、引抜、ピーリング)・六角棒・四角棒は共に多く流通しており、入手は容易です。ただし、SUS304の方が全体的に細かいピッチで寸法が設定されていることも多いです。

平角棒

平角棒はSUS303も流通していますが、SUS304の方が寸法ラインナップが豊富です。表面も#400、HL等豊富なラインナップが流通しています。

薄板(冷間圧延)

薄板(冷間圧延)は、SUS304のみ流通しています。それは、SUS303が切削を想定した材質であること、薄板の主な用途が一般板金用であることが主な理由です。

厚板(熱間圧延)

厚板(熱間圧延)はSUS304、SUS303共に流通しており、入手は容易です。ただし、SUS304の方がより多く使用されることから入手はより容易です。

パイプ

パイプは基本的にはSUS304が流通しており、色々な形状(丸パイプ、角パイプ、平角パイプ等)、表面(#400、HL等)が流通しています。SUS303は紐付き品等で持っている問屋さんがあるかもしれませんが、基本的には流通していません。

アングル・チャンネル

アングル・チャンネル等の型鋼もSUS303は流通していません。構造用として使用されることを想定しており、切削性を求められる形状ではないことが挙げられます。

SUS304・SUS303の規格寸法

詳しくはこちらまでお問い合わせ下さい。

銅平角棒(銅帯、銅ブスバー、銅バスバー)について徹底解説!

Rつき銅平角棒

こんにちは。

今日は銅の平角棒(ブスバー)について解説していきます。

銅の平角棒は銅ブスバー(銅バスバー)、銅フラットバー等と呼ばれ、普段の生活ではあまり目にする機会は少ないかもしれませんが、私たちの生活の中に無くてはならない材質、形状のものです。

銅平角棒(ブスバー)の成分

種類旧称旧記号Cu(銅)
C1020無酸素銅OFCu99.96以上
C1100タフピッチ銅TCu99.90以上

上記の通り、無酸素銅の方が銅の純度が高いことがわかります。

銅ブスバーはタフピッチ銅(C1100BB)が最も多く流通しており、一部紐付き品として無酸素銅(C1020BB)も使用されています。

ロウ付けが必要な場合や、使用や加工の際に高熱が加わる場合は無酸素銅の平角棒が使用されます。タフピッチ銅を高温で使用すると素材の中の酸素(0.008%)と水素が反応し水素脆化が起こるからです。

ただ、タフピッチ銅と比べ流通性が悪く、また価格も高くなるので注意が必要です。こちらに関しては後程記載したいと思います。

銅平角棒(銅ブスバー)の機械的性質

合金番号質別記号引張試験曲げ試験
厚さ
mm
引張強さ
N/m㎡
伸び
厚さ
mm
曲げ角度内側半径
C1020
C1100
OC1020BB-O
C1100BB-O
2以上
30以下
195以上35以上2以上
15以下
180°厚さの0.5倍
1/4HC1020BB-1/4H
C1100BB-1/4H
2以上
30以下
215~27525以上2以上15以下180°厚さの1倍
1/2HC1020BB-1/2H
C1100BB-1/2H
2以上20以下245~31515以上2以上15以下90°厚さの1.5倍
HC1020BB-H
C1100BB-H
2以上10以下275以上
規定厚さ範囲外の寸法のものの機械的性質は受渡当事者間の協定による。

上記で市場に流通している多くはC1100BB-1/2Hとなり、他の調質、材質は製作となります。

銅平角棒(銅ブスバー)の導電率

合金番号質別記号導電率 %
(20℃)
C1020
C1100
OC1020BB-O
C1100BB-O
100以上
C1020
C1100
1/4HC1020BB-1/4H
C1100BB-1/4H
98以上
C1020
C1100
1/2HC1020BB-1/2H
C1100BB-1/2H
98以上
C1020
C1100
HC1020BB-H
C1100BB-H
97以上

上記のように導電率が非常に良いことがわかります。

銅平角棒(銅ブスバー)の主な用途

配電盤、分電盤、メッキ治具、端子、熱交換器、伝導体、設備用部品

やはり導電性が必要な場合に多く使用さえていることがわかります。また、曲げ加工性やかしめ性、溶接性が良好です。

銅平角棒(銅ブスバー)の製造範囲

タフピッチ銅平角棒(銅ブスバー)の規格はこちらから

タフピッチ銅の平角棒(C1100BB)は2×10から、大きいものでは30×300なんてものも存在します(阪根商事HPには載せていません)。

メーカーによって製造範囲は異なりますのでこちらから問い合わせて下さい。

無酸素銅の平角棒は一部紐付きで在庫している問屋さんもありますが基本的には受注生産となります。

定尺の長さですが5000mmが標準サイズとなります。

製作となりますが、角Rをとって曲げ加工性を向上させることも可能で、サイズではありますがフルラウンドの材料も一部流通しております。

ダイスを製作することで任意の厚み、幅、角Rで製作することも可能ですのでこちらからお問い合わせ下さい。もちろんメーカーの汎用ダイスもありますのでこちらからお問い合わせ下さい。

銅平角棒(ブスバー)の寸法許容差

厚さ厚さの許容差幅の許容差
200以下200を超え300以下100以下100を超え300以下
2以上3.2以下±0.08±0.8
3.2を超え5以下±0.10±1.0±1%
5を超え8以下±0.12±0.13±1.0±1%
8を超え12以下±0.15±0.18±1.0±1%
12を超え20以下±0.20±0.23±1.0±1%
20を超え30以下±1.2%±1.3%±1.0±1%
許容差を+または-だけに指定する場合は表の数値の2倍とする。
規定範囲外の寸法のものの許容差は受渡当事者間の協定による。

製造ロットと納期

銅平角棒を製作する際の最少ロットは形状やサイズにもよりますが、約300Kgもしくは約500Kgからオーダー可能です。もちろん、サイズによっては1本で300Kgを超えるものもありますので要相談となりますが…。

製作となった場合、納期は1.5ヵ月から3ヵ月程度はどうしてもかかってしまいます。ただし、メーカーの混み具合によってはさらに納期がかかってします場合がありますので注意が必要です。その辺りも考慮し発注する必要がありますね。

納期が間に合わない場合や少量で購入する場合は、市中品を購入することになります。その場合は1本から購入可能です(もちろん半分切りや寸法切断にも対応可)。また、任意の寸法に切断し、1本以下(例えば100mm1本等)で商品も購入できますが、やはり割高になってしまう傾向にあります。

銅平角棒(銅ブスバー)の製造メーカー

  • 三菱マテリアル株式会社
  • 権田金属工業株式会社
  • 日立金属ネオマテリアル
  • 古河電気工業株式会社

日本国内のメーカーは主に上記の4社が製造販売しております。

その他、タイのオリエンタルカッパープロダクツの材料も流通しています。

まとめ

  • 銅平角棒(銅ブスバー)は導電率、熱伝導率、曲げ加工性、かしめ性に優れている。
  • 水素脆化を起こさないため高温で使用する際は無酸素銅平角棒(C1020BB)が適している。
  • タフピッチ銅平角棒は市場性に優れており、多く流通している。
  • 製作の場合は約300Kgから製作できる。

銅ブスバーに関して詳しくはこちらからお問い合わせ下さい。

C2801とC3604の丸棒について

快削黄銅六角棒

C2801の丸棒は在庫でお持ちですか?最近、多い問い合わせの一つです。

RoHS規制の問題もあり鉛レス化を意識し、このような問い合わせが増えているように感じます。

残念ながら答えはNoです。

鉛レス黄銅銅棒については後日投稿いたします。

まずはC2801とC3604の成分の違いを見ていきましょう。

C2801とC3604の成分表

旧称旧記号CuPbFeZnその他
C2801黄銅3種Bsx359.0~62.0≦0.10≦0.07残部
C3604快削黄銅2種BsBMx257.0~61.01.8~3.7≦0.50残部Fe+Zn=≦1.2

御覧の通り、大きな違いとして鉛の含有量にあります。

C2801は0.1%未満に対し、C3604は1.8~3.7%含有されています。

鉛を添加することにより切削性が向上し、微細な切粉になります。その一方で展伸性、かしめ性、曲げ加工性が悪くなります。

ちなみに鉛は現行(2020年3月現在)のRoHSでは規制対象となり、0.1wt%以下の許容量となります。しかし、C3604(快削黄銅棒)は4.0wt%までの含有を許容されております。

ただし、C3604は鉛に関しては大丈夫でも、カドミウムの含有量で現行のRoHSに引っかかる可能性があり、そういった場合はカドミウムの含有量を規制値以下に低減しているカドミレス材を使用する必要があります(RoHSでは100ppm以下)。

C2801とC3604の用途

C2801

プレス部品、電機部品、配線器具、コネクター、神仏具、銘板、建築用金具

板や条が流通しており、曲げ加工やしぼり加工、プレス加工が必要な部品に使用される。

C3604

ボルト、ナット、ねじ、歯車、機械部品、水栓金具、ガス用品、バルブ、時計部品、カメラ部品、ライター

棒材が多く流通していることから、切削加工に用いられることが多い。

C2801とC3604の流通性

C2801は板、条が市中に多く流通しており、板材(1/4H)の場合、サイズは0.2tから30.0tまで存在します。面削材(F材)なら100tを超える厚みのものまであります。厚板は切り出して、フライスやマシニングセンター等による加工用に使われます。条は0.2t~2.0t程度までが多く流通しています。

C3604は丸棒、六角棒、四角棒等のが流通しており、φ2からφ400程度まで存在し、中径棒以上は押出(BE)、中径棒から小径棒は引抜(BD)となります。

C2801とC3604の形状と寸法

用途で記載した通り、C3604は棒材、C2801は板条が流通しております。

C3604の寸法表

C3604一般材

C3604カドミレス材

C2801の寸法表

まとめ

  • C2801の丸棒は流通していない
  • C3604は一般材、カドミレス材共に棒材が流通している
  • C2801は鉛の含有量が少なく、板条が多く流通している (RoHS規制の数値内)
  • C3604は現行RoHS規制に対応しているカドミレス材が流通している
  • C3604は切削性が良好である
  • C2801は展伸性が良好である

追記

鉛レス快削黄銅棒について

早ければ2021年7月で適用除外から外れ鉛の含有量を1000PPM、カドミウムの含有量を10PPM以下になってしまうため、 各メーカーが鉛レス黄銅棒を開発、販売しています。

鉛の代用としてシリコン(Si)を添加した黄銅棒やビスマス(Bi)を添加した黄銅棒があります。

冒頭でもお伝えしていたように、鉛レス快削黄銅棒についての詳しい記載は後日投稿いたします。

鉛レス黄銅棒の寸法表

C6801(BZ5A)

C6932(エコブラス)

その他、詳しい内容についてはこちらからお問い合わせ下さい。

【快削黄銅】 C3602とC3604の違いについて

快削黄銅とは普通の黄銅に鉛を添加し、切削性を良くした材料です。以前は『BSBM1』『BSBM2』という名称(旧JIS記号)で呼ばれていた快削黄銅棒ですが、今では一般的に『C3602』『C3604』という名称で広く知られています。

C3602は快削黄銅1種 C3604は快削黄銅2種で区別されます。

C3602・C3604の成分について

主成分及び用途は以下の通りです。

種類旧称旧記号CuPbFeZnその他の規定
C3602快削黄銅1種BsBM159~631.8~3.7≦0.5残部Fe+Sn≦1.2
C3604快削黄銅2種BsBM257~611.8~3.7≦0.5残部 Fe+Sn≦1.2

成分表に記載されている通り、C3602とC3604は銅と亜鉛の割合が異なります。 では、成分の違いでどのような特徴があるのでしょうか?

一般的にC3602は銅の割合が多いため、C3604と比べ冷間鍛造性に優れています。また、多少の曲げ加工やかしめ加工もC3604と比べると優れています。 しかし、やはり快削黄銅(鉛入り)ですので、無理な加工では割れが発生する可能性があります。切削性はC3604と比べると材料に粘りがあるため、くるくると巻いたような切断粉になります。 C3604はC3602に比べ、より切削性が良く、切断粉は細かくなるためより機械加工に向いているといえます。 ただ、ここで一つ注目していただきたいのが、C3602とC3604は銅と亜鉛の割合がかぶっているということです。 場合によってはC3602より粘いC3604、またはC3604より削いC3602がある可能性がでてきます。 そこで、各社はJISの規定より細かく成分配合を設定しています。サンエツ金属新日東工場の一般材を例に見てみましょう。

記号サンエツ金属材質名主要成分特色
C3602H60.8Cu-3Pb-Znかしめ性・汎用性
C3602N59.5Cu-3Pb-Zn汎用性
C3604S58.2Cu-3Pb-Zn汎用性
C3604SS57.2Cu-3.6Pb-Zn汎用性
C360241960.5Cu-2.2Pb-Zn転造性・かしめ性

このように、流通量が少ないもの、または流通していないものもありますが、よりユーザーの希望に沿った商品を作っています。流通していない材質、製作に関してはこちらからお問い合わせ下さい。

C3602・C3604の用途

主に精密機械部品・水栓金具・冷凍機器、また磁性を帯びない、いわゆる非磁性であることで電気計器部品・コンピューター機器・通信機器・エアコン部品などに多く使用されています。歯車やネジ等の微細な加工にも適しています。変わった用途としては、日本古来の神仏具にも多く使用されています。

また金・銀・ニッケル・クロムなどのメッキやロウ付けが容易なのでキッチン・トイレなどの水回り関係といった多種多様の用途があります。

C3602・C3604の流通性

上記で説明した通り、一般的に切削加工を行う場合、C3602よりもC3604の方が好まれます。 そして一般的に現物を入手しやすいのもC3604です。 細径サイズ(主にΦ2~Φ6)は流通していますが、中径から太径に関しては在庫対応している問屋は少なく、例えばC3602のΦ40を1本欲しいという要望に対しては入手が難しい場合もあります。C3602が必要であれば最少ロットで製作することも可能です。黄銅棒メーカーはC3602引抜丸棒の場合、Φ2以上Φ75以下のサイズを最少300kgから、またかしめ性と転造性を兼ね備えた、いわゆる重かしめ材という材質にて製作することも可能です。

またC2801の棒材はありますか?答えはNOです。 C2801とは60Cu-40Znのいわゆる六四黄銅と言われるもので、板もしくはコイル材しか市場に流通しておりません。この材質は加工の際に素材が柔軟に変形して破断しない、いわゆる展延性に優れており、建築用金具などにもよく使用されます。機械加工してみるとその違いは一目瞭然で、プレスで潰した場合、C3604は割れてしまいますが、C2801は伸びがよく粘りが違います。加工方法によってはC2801の棒材が欲しいという声を聞くことがありますが、残念なことに前述通りC2801の棒材というものは市中に存在しません。

C3602・C3604の寸法表

一般材

カドミレス材

まとめ

  • C3602はC3604に比べて粘りがあり、かしめ、冷間鍛造に向く。
  • C3604はC3602より切削性がよく、より機械加工に向く。
  • 中径、太径はC3604が多く流通している。
  • 細径はC3602も流通している。
  • C3602・C3604共に300Kgから製作可能。
  • C2801の丸棒は流通していない。

5000番台アルミの代表的鋼種A5052とA5056の違いを徹底解説!

5000番台(Al-Mg系)のアルミ丸棒を加工や設計する際、A5052とA5056のどちらを使用すればいいのでしょうか。

以前、筆者は『関東ではA5056、関西ではA5052が主流である』と聞いたことがあるのですが、果たして…。

今回はA5052とA5056の丸棒を使用する際の材料選定について書きたいと思います。

5000番台(Al-Mg系)アルミ丸棒のポイント

  • A5052は中程度の強度をもった代表的な5000番台のアルミ合金で、耐食性、溶接性、成形性が良好。特に、強度のわりに疲労強度が高く耐海水性も良好である。
  • A5056は耐食性に優れ、切削加工による表面仕上がり、陽極酸化処理性(アルマイト性)とその染色性が良好である。溶接性はA5052と比べ劣る。旋盤加工に用いられることを想定しているため寸法が豊富である。

目次

  • 化学成分
  • 用途
  • 物理的性質
  • 機械的性質
  • 寸法について
  • まとめ

化学成分

A5052

SiFeCuMnMgCrZnAl
0.250.40.10.12.2~2.80.15~0.350.1残部

A5056

SiFeCuMnMgCrZnAl
0.30.40.10.05~0.24.5~5.60.05~0.20.1残部

上記の通り、A5052は5000番台のアルミ合金の中で中程度のマグネシウム含有量であり、A5056の方がマグネシウムの含有量が多い ことがわかります。

用途

A5052… 船舶部品、車両用部品、建築用、装飾用 、一般工作用

溶接性の良さもあり、板材やパイプと組み合わせて使用されることも多い。また、アルミ合金の中でも最も多く使用されています。

A5056…光学部品、通信機器部品、電子部品、ファスナー

切削加工により美しい表面仕上がり、陽極酸化処理性(アルマイト性)もよいので表に出るパーツに用いられる。

物理的性質

合金
種類質別密度(20℃)
(Mg/m³)
溶解温度範囲
導電率(20℃)
(IACS,%)
熱伝導率(25℃)
kW/(m・℃)
A5052全質別平均2.68607~649350.14
A5056H382.64568~638290.12
O2.642.64270.11

機械的性質

材質引張性質ブリネル硬さ疲れ強さ
引張強さ
(N/mm²)
耐力
(N/mm²)
伸び(%)
12.5mm径(D5)
A5052-O195902747110
A5052-H342602151268125
A5056-O2901503265140
A5056-H184354059105150
A5056-H3841540513100150

※参考値として。流通量の少ない調質も記載されています。

寸法について

A5052とA5056の丸棒は2000mmが多く流通しています。一部4000mmも流通しています。 製作によって2500mmや3000mmなど任意の長さで作ることも可能です。

寸法表(外径)はこちら

まとめ

  • 5000番台(Al-Mg系)の代表的な鋼種はA5052
  • 溶接が必要な場合はA5052
  • 切削加工に向き、アルマイト処理性が良いのはA5056

https://www.sakane-syoji.com/products/alminium/A5052/p/4004/

https://www.sakane-syoji.com/products/alminium/A5056/p/4005/

無酸素銅板、タフピッチ銅板、りん脱酸銅板について徹底解説!

純銅板を加工や設計をする際、材質の選定で悩まれていることはないでしょうか。 今回は銅板を使用する際の材料選定について書いていきたいと思います。 我が国に多く流通する銅板は無酸素銅(C1020)、タフピッチ銅(C1100)、燐脱酸銅(C1220)に分類されています。今回は3種類の銅板について解説していきます。

銅板選定のポイント

  • 化学成分
  • 用途
  • 物理的性質
  • 機械的性質
  • 寸法について
  • まとめ

化学成分

無酸素銅(C1020)(OFCu)

Cu
99.96Min

タフピッチ銅(C1100)(TCu)

Cu
99.9Min

燐脱酸銅(C1220)(DCu)

CuP
99.9Min0.03

上記の通り、無酸素銅が最も純度が高く、真空溶解によって製造されています。そのため、酸素の量をごく微量に抑えており水素脆化を起こしにくい純銅です。

タフピッチ銅は多少の酸素を含有するため、600℃以上の環境では水素脆化を起こす可能性があり、高温での使用には注意が必要です。最も流通しており一般的に一番入手し易い材質です。

りん脱酸銅は、タフピッチ銅と比べて導電率は劣りますがリンを脱酸材として添加し、酸素が除去されているため高温でも水素と反応せず水蒸気が発生しません。タフピッチ銅と比べるとやや導電率が悪い材質です。

用途

無酸素銅(C1020)

電気・電子部品、化学工業部品、熱交換器、音響用部品

特に導電性が必要な部品、高温になる部品に使用されます。

タフピッチ銅(C1100)

電気・電子部品、建築材料、器物、機械部品、自動車用部品、ガスケット

最も汎用性があり、導電材として使用されます。

燐脱酸銅(C1220)

湯沸器、ガスケット、冷蔵庫用部品、建築材料

建築材料や高い導電性が必要でない場合に多く使用されています。

物理的性質

C1020(OFCu)C1100(TCu)C1220(DCu)
融点(℃)液相108310831083
固相108310831083
比熱[J/Kg・K](20℃)385385385
比重(20℃)8.949.89~8.948.94
熱伝導率 [W/(m・K)](20℃) 391391339
縦弾性係数[kN/mm²]118118118
横弾性係数[kN/mm²]444444
ポアソン比0.330.330.33
導電率[%IACS]1019885
体積抵抗率10⁻³ μΩ・m 17.117.120.3

機械的性質

合金番号
JIS
質別引張強さ
N/mm²
伸び
ビッカース硬さ
HV
C1020(OFCu)O195以上35以上
無酸素銅1/4H215~27525以上55~100
1/2H245~31525以上75~120
H275以上80以上
C1100(TCu)O215~27535以上
タフピッチ銅1/4H215~27525以上55~100
1/2H245~31525以上75~120
H275以上80以上
C1220(DCu)O195以上35以上
燐脱酸銅1/2H215~27525以上55~100
1/4H245~31515以上75~120
O275以上80以上

2020年現在、最も流通している調質はC1020が1/2H、C1100が1/4H、C1220が1/4Hです。

寸法について

銅板は一般的に小板(365x1200)と、タフピッチのみ大板(1000x2000)が流通しています。

寸法表はこちらを参照下さい。

まとめ

  • 銅は金属の中で銀に次いで高い導電性を有していることから多くの電気・電子部品に使用されています。高温で使用する場合は無酸素銅を使用する。
  • 非常に高い熱伝導性を持ち、各種の熱交換器に使用される。
  • 継続して使用することで「緑青」という美しい風合いに変化する。
  • 展延性に優れ絞り加工や曲げ加工に適している。

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