無酸素銅板、タフピッチ銅板、りん脱酸銅板について徹底解説!

純銅板を加工や設計をする際、材質の選定で悩まれていることはないでしょうか。 今回は銅板を使用する際の材料選定について書いていきたいと思います。 我が国に多く流通する銅板は無酸素銅(C1020)、タフピッチ銅(C1100)、燐脱酸銅(C1220)に分類されています。今回は3種類の銅板について解説していきます。

銅板選定のポイント

  • 化学成分
  • 用途
  • 物理的性質
  • 機械的性質
  • 寸法について
  • まとめ

化学成分

無酸素銅(C1020)(OFCu)

Cu
99.96Min

タフピッチ銅(C1100)(TCu)

Cu
99.9Min

燐脱酸銅(C1220)(DCu)

CuP
99.9Min0.03

上記の通り、無酸素銅が最も純度が高く、真空溶解によって製造されています。そのため、酸素の量をごく微量に抑えており水素脆化を起こしにくい純銅です。

タフピッチ銅は多少の酸素を含有するため、600℃以上の環境では水素脆化を起こす可能性があり、高温での使用には注意が必要です。最も流通しており一般的に一番入手し易い材質です。

りん脱酸銅は、タフピッチ銅と比べて導電率は劣りますがリンを脱酸材として添加し、酸素が除去されているため高温でも水素と反応せず水蒸気が発生しません。タフピッチ銅と比べるとやや導電率が悪い材質です。

用途

無酸素銅(C1020)

電気・電子部品、化学工業部品、熱交換器、音響用部品

特に導電性が必要な部品、高温になる部品に使用されます。

タフピッチ銅(C1100)

電気・電子部品、建築材料、器物、機械部品、自動車用部品、ガスケット

最も汎用性があり、導電材として使用されます。

燐脱酸銅(C1220)

湯沸器、ガスケット、冷蔵庫用部品、建築材料

建築材料や高い導電性が必要でない場合に多く使用されています。

物理的性質

C1020(OFCu)C1100(TCu)C1220(DCu)
融点(℃)液相108310831083
固相108310831083
比熱[J/Kg・K](20℃)385385385
比重(20℃)8.949.89~8.948.94
熱伝導率 [W/(m・K)](20℃) 391391339
縦弾性係数[kN/mm²]118118118
横弾性係数[kN/mm²]444444
ポアソン比0.330.330.33
導電率[%IACS]1019885
体積抵抗率10⁻³ μΩ・m 17.117.120.3

機械的性質

合金番号
JIS
質別引張強さ
N/mm²
伸び
ビッカース硬さ
HV
C1020(OFCu)O195以上35以上
無酸素銅1/4H215~27525以上55~100
1/2H245~31525以上75~120
H275以上80以上
C1100(TCu)O215~27535以上
タフピッチ銅1/4H215~27525以上55~100
1/2H245~31525以上75~120
H275以上80以上
C1220(DCu)O195以上35以上
燐脱酸銅1/2H215~27525以上55~100
1/4H245~31515以上75~120
O275以上80以上

2020年現在、最も流通している調質はC1020が1/2H、C1100が1/4H、C1220が1/4Hです。

寸法について

銅板は一般的に小板(365x1200)と、タフピッチのみ大板(1000x2000)が流通しています。

寸法表はこちらを参照下さい。

まとめ

  • 銅は金属の中で銀に次いで高い導電性を有していることから多くの電気・電子部品に使用されています。高温で使用する場合は無酸素銅を使用する。
  • 非常に高い熱伝導性を持ち、各種の熱交換器に使用される。
  • 継続して使用することで「緑青」という美しい風合いに変化する。
  • 展延性に優れ絞り加工や曲げ加工に適している。

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